ビタミンE

 ヒトの血液および組織に存在するビタミン E は大部分が αトコフェロールであり,細胞の脂質二重膜内に存在し,不飽和脂肪酸や他の成分を酸化障害から防御しています.動物実験でビタミン E を欠乏させると不妊,脳軟化症,肝臓壊死,腎障害,溶血性貧血,筋ジストロフィーなどを発症します.ビタミン E 過剰症として出血傾向があります.通常の食事摂取ではビタミン E 欠乏や過剰が起こることはありません.

 ビタミン E の吸収率は報告によって 21 % から 86 % までとまちまちであり,正確な吸収率は分かっていません.日本人を対象とした α トコフェロールの摂取量との調査として平成 22 年および 23 年の国民健康・栄養調査があります.成人では摂取量の中央値を元に目安量を設定し,高齢者もそれに準じて設定しています.小児のビタミン E の目安量に関するデータはなく,成人同様国民健康・栄養調査の中央値を目安量にしています.0-5 ヶ月の乳児については日本人母乳中の α トコフェロール濃度に基準哺乳量を乗じて目安量を設定しており,6-11 ヶ月の乳児については体重比の 0.75 乗で体表面積を外挿して目安量を設定しています.妊婦・授乳婦については平成 19 年から 23 年までの国民健康・栄養調査の妊婦・授乳婦のビタミン E 摂取量の中央値を元に設定しています.耐用上限量は年齢階級ごとに参照体重の体重比から外挿し設定しています.

The Dietary Reference of vitamin E (mg/d) (2015 edition)
性別 男性 女性
年齢 目安量 耐用上限量 目安量 耐用上限量
0-5 M 3.0 3.0
6-11 M 4.0 4.0
1-2 3.5 150 3.5 150
3-5 4.5 200 4.5 200
6-7 5.0 300 5.0 300
8-9 5.5 350 5.5 350
10-11 5.5 450 5.5 450
12-14 7.5 650 6.0 600
15-17 7.5 750 6.0 650
18-29 6.5 800 6.0 650
30-49 6.5 900 6.0 700
50-69 6.5 850 6.0 700
70- 6.5 750 6.0 650
妊婦 6.5
授乳婦 7.0
The Dietary Reference of vitamin E (mg/d) (2010 edition)
性別 男性 女性
年齢 目安量 耐用上限量 目安量 耐用上限量
0-5 M 3.0 3.0
6-11 M 3.5 3.5
1-2 3.5 150 3.5 150
3-5 4.5 200 4.5 200
6-7 5.0 300 5.0 300
8-9 6.0 350 5.5 350
10-11 6.5 450 6.0 450
12-14 7.0 600 7.0 600
15-17 8.0 750 7.0 650
18-29 7.0 800 6.5 650
30-49 7.0 900 6.5 700
50-69 7.0 850 6.5 700
70- 7.0 750 6.5 650
妊婦付加量 0.0
授乳婦付加量 3.0


日本人の食事摂取基準(2015 年版)脂溶性ビタミン (pdf)
日本人の食事摂取基準(2010 年版)ビタミン E (pdf)