発散定理

 ガウスの発散定理とも呼ばれる定理です.発散を,ベクトル場 \bold{A} 内における容積 V の単位体積あたりの湧出量と捉えると,定理の左辺の意味は『容積 V 内全体での流量の変化量』を表わすと考えられ,右辺は『この容積 V の表面 S における \bold{A} の法線方向成分』と考えられます.流量には水流,電場,磁場などを考えます.

 S を容積 V の領域を境する閉曲面とします.その面の外側に向けて引かれた法線を選択し 正の法線 とします.また \alpha,\ \beta,\ \gamma をこの法線が正の x 軸,y 軸及び z 軸に対してそれぞれなす角とします.そこで仮に A_1,\ A_2 および A_3 が連続で,この領域で連続な偏微分を有するなら

\displaystyle \underset{V}{\iiint}\left( \frac{\partial A_1}{\partial x} + \frac{\partial A_2}{\partial y} + \frac{\partial A_3}{\partial z} \right)dV = \underset{S}{\iint}(A_1\cos\alpha + A_2\cos\beta + A_3\cos\gamma)dS\cdots(35)

ここで上記は以下のようにも記述できます.

\displaystyle \underset{V}{\iiint}\left( \frac{\partial A_1}{\partial x} + \frac{\partial A_2}{\partial y} + \frac{\partial A_3}{\partial z} \right)dV = \underset{S}{\iint}[ A_1dydz + A_2dzdx + A_3dxdy ]\cdots (36)

  \bold{A} = A_1\bold{i} + A_2\bold{j} + A_3\bold{k} および \bold{n} = \cos\alpha\bold{i} + \cos\beta\bold{j} + \cos\gamma\bold{k} のベクトルの形では,以下のようにシンプルに記述できます.

\displaystyle \underset{V}{\iiint}\nabla\cdot\bold{A}dV = \underset{S}{\iint}\bold{A}\cdot\bold{n}dS\cdots(37)

 これを定理の言葉では 発散定理 または 空間におけるグリーンの定理 と呼び,その面は閉曲面にわたるベクトル \bold{A} の法線要素の積分に等しいとの状態は,その面に囲まれた容積にわたる \bold{A} の発散の積分に等しくなります.