学会の季節ともなると PowerPoint でのスライド作りが忙しくなってきます.蛋白質の分子構造を表現する方法をいくつか紹介します.
制約条件
発表時に自分の端末を使用できるか?
これが重要な分岐点になります.大きな学会になると発表専用の PC 端末が準備されており,カスタマイズは不可能です.これは大きな制約条件になります.
ネットに繋がるか?
動画を扱う場合,ファイルサイズが非常に大きなものになり,場合によっては YouTube などへのリンクを貼り付けるに留める必要があるかも知れません.その場合,発表用の端末がネットに繋がるかどうかも制約条件の一つとなります.
自分の端末を使用できない場合
この場合はあまり効果的な視覚効果は期待できません. GIF アニメーションを見せるくらいがせいぜいです.
蛋白質データバンクからpdbファイルをダウンロードする
Protein Data Bank というデータベースがあります.蛋白質の立体構造を位置情報込みで登録したデータベースで,誰でも無料で利用できます.
QuteMolで回転アニメーションに変換する
フリーウェアの QuteMol というソフトウェアがあります.ダウンロードした pdb ファイルをこのソフトで開き,GIF アニメーションで保存すると,回転するアニメーションで保存できます.
自分の端末を利用できる場合
Discovery Studio Visualizerをインストールしよう
フリーソフトウェアです.プラグインとして Discovery Studio ActiveX Control がインストールされます.これを PowerPoint から流用します.詳細はPowerPointやPDFにいろいろなマルチメディアを埋め込む(3) を参照してください.
分子モデルが手動でグリグリ動く
やってみると病みつきになります.ただし,巨大な分子になるとコンピュータのパワーがそれなりに必要になります.
PowerPointで蛋白質を描く
手動で描くわけですから ,これはある意味,力技になります.細胞膜に浮かぶ蛋白質の断面や奥にあるドメインなどを楕円形の組み合わせで描いていきます.
ポイントはグラデーション
錯覚を利用します.断面は平面的に,ドメインは立体的に見えればよいのですから,断面に当たる楕円形のグラデーションを線形に,ドメインは放射状を用います.光源と影の角度に注意します.
3Dソフトウェアが使えるなら
pdb ファイルを VRML ファイルに変換
DS Visualizer や Chimera が使える方なら VRML ファイルに変換し,一般の CG ソフトウェアに読み込ませることで本格的な立体モデルが作成できます.このあたりの詳細は下記の書籍を参考にしてください.