複素数

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 複素数は x^2 + 1 = 0x^2 + x + 1 = 0 といった実数解を持たない整方程式を解く際に出現します.複素数は a + bi という形をしており,a, b は実数部であり,i は虚数部と呼ばれ,i2 = -1 という性質を持ちます.複素数は以下のように定義されます.

  1. 加算
    \displaystyle (a + bi) + (c + di) = (a + c) + (b + d)i
  2. 減算
    \displaystyle (a + bi) - (c + di) = (a - c) + (b - d)i
  3. 乗算
    \displaystyle (a + bi)\times(c + di) = ac + adi + bci + bdi^2 = (ac - bd) + (ad + bc)i
  4. 除算
    \displaystyle \frac{a + bi}{c + di} = \frac{a + bi}{c + di}\times\frac{c - di}{c - di} = \frac{ac + bd}{c^2 + d^2} + \frac{bc - ad}{c^2 + d^2}i

 いかなる状況でも i2 を -1 で置換することを除けば,代数の通常の定義が用いられます.交換法則,結合法則,分配法則もまた複素数に適用されます.a + bia および b はそれぞれ 実数部 および 虚数部 と呼ばれます.二つの複素数が等しいとは,実数部と虚数部とがそれぞれ等しい時に限られます.

 ある複素数 z = x + iyxy 直交平面上の (x, y) 座標の点 P とみなすことができ,この場合この平面を 複素平面 または アルガン図 と呼びます.仮に原点 O から点 P への直線を引き,OP 間の距離を ρ とし,OPx 軸のなす角度を φ とすると,次の図を得ます.

Graph

\displaystyle x = \rho \cos\phi,\ y = \rho\sin\phi,\ \rho = \sqrt{x^2 + y^2}

また複素数をいわゆる 極座標系式 として以下のように記述できます.

\displaystyle z = x + iy = \rho(\cos\phi + i\sin\phi) = \rho cis\phi

 しばしば ρzモジュラス または 絶対値 と呼ばれ,|z| と記述します.角 φzamplitude または argument と呼ばれ,arg z と略記します.\rho = \sqrt{z\bar{z}} とも記述できます.ただし \bar{z} = x - iyz = x + iy共役複素数 と呼ばれます.

 極座標で複素数を記述すると以下のようになります.

\displaystyle z_1 = \rho_1(\cos\phi_1 + i\sin\phi_1),\ z_2 = \rho_2(\cos\phi_2 + i\sin\phi_2)

すると

\displaystyle z_1z_2 = \rho_1\rho_2[\cos(\phi_1 + \phi_2) + i\sin(\phi_1 + \phi_2)]\\\vspace{0.2 in}  \frac{z_1}{z_2} = \frac{\rho_1}{\rho_2}[\cos(\phi_1 - \phi_2) + i\sin(\phi_1 - \phi_2)]

 仮に n を任意の実数とすると以下を得ます.

\displaystyle z^n = [\rho(\cos\phi + i\sin\phi)]^n = \rho^n(\cos n\phi + i\sin n\phi)

これは ド・モアブルの定理 として知られています.これを用いて複素数の根を定義できます.例えば仮に n を正の整数と仮定すると,

\displaystyle z^{\frac{1}{n}} = [\rho(\cos\phi + i\sin\phi)]^\frac{1}{n} = \rho^{\frac{1}{n}}\left\{\cos\left(\frac{\phi + 2k\pi}{n}\right) + i\sin\left(\frac{\phi + 2k\pi}{n}\right)\right\}\\\vspace{0.2 in}  \ \ k = 0,\ 1,\ 2,\ \cdots,\ n-1

ex, sin x, cos x のための級数を用いると以下の定義に導かれます.

\displaystyle e^{i\phi} = \cos\phi + i\sin\phi,\ e^{-i\phi} = \cos\phi - i\sin\phi

これらは オイラーの公式 と呼ばれ,方程式を指数関数の観点から書き直すことができます.

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投稿者: admin

趣味:写真撮影とデータベース. カメラ:TOYO FIELD, Hasselblad 500C/M, Leica M6. SQL Server 2008 R2, MySQL, Microsoft Access.

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