複素数は や といった実数解を持たない整方程式を解く際に出現します.複素数は a + bi という形をしており,a, b は実数部であり,i は虚数部と呼ばれ,i2 = -1 という性質を持ちます.複素数は以下のように定義されます.
- 加算
- 減算
- 乗算
- 除算
いかなる状況でも i2 を -1 で置換することを除けば,代数の通常の定義が用いられます.交換法則,結合法則,分配法則もまた複素数に適用されます.a + bi の a および b はそれぞれ 実数部 および 虚数部 と呼ばれます.二つの複素数が等しいとは,実数部と虚数部とがそれぞれ等しい時に限られます.
ある複素数 z = x + iy は xy 直交平面上の (x, y) 座標の点 P とみなすことができ,この場合この平面を 複素平面 または アルガン図 と呼びます.仮に原点 O から点 P への直線を引き,OP 間の距離を ρ とし,OP と x 軸のなす角度を φ とすると,次の図を得ます.
また複素数をいわゆる 極座標系式 として以下のように記述できます.
しばしば ρ は z の モジュラス または 絶対値 と呼ばれ,|z| と記述します.角 φ は z の amplitude または argument と呼ばれ,arg z と略記します. とも記述できます.ただし は の 共役複素数 と呼ばれます.
極座標で複素数を記述すると以下のようになります.
すると
仮に n を任意の実数とすると以下を得ます.
これは ド・モアブルの定理 として知られています.これを用いて複素数の根を定義できます.例えば仮に n を正の整数と仮定すると,
ex, sin x, cos x のための級数を用いると以下の定義に導かれます.
これらは オイラーの公式 と呼ばれ,方程式を指数関数の観点から書き直すことができます.