実数の代数においておなじみの加算,減算,積算の演算は,適切に定義すればベクトル代数にも拡張可能です.下記の定義は基本的なものです.
- 二つのベクトル と が同じ大きさと方向を有するなら,始点が異なっても 等しい.
- あるベクトル と反対の方向を有するが大きさの同じベクトルは と記述する.
- ベクトル と の 和 または 結果 がベクトル であり, の始点を の終点に置き,また の始点を の終点に結合して得られる.和 は と記述される.ここでの定義はベクトル加算の 平行四辺形の法則 に等しい.
- ベクトル と との 減算 は と表現し,ベクトル に を加算すると が得られることである.同様に, は として定義される.仮に の時, は ヌル または 零ベクトル と定義され,記号 で表現される.これは大きさがゼロで方向は定義されていない.
- ベクトル にスカラー m を積算する処理はベクトル であり大きさがベクトル の 倍であり,方向がベクトル と同じか正反対であり, が正負いずれを取るのかに依存する.仮に の時は となり,ヌルベクトルである.