血液透析患者における栄養リハビリテーションは最近のトピックの一つです.レジスタンス運動は筋力増強をもたらしたものの,身体機能の改善には至らなかったという報告です.無作為化比較試験であり信頼性は高いのですが,参加者人数が少なく有意差が出なかったのではないかとも考えられます.
透析患者における蛋白同化運動:無作為化比較試験
Danielle L. Kirkman, Paul Mullins, Naushad A. Junglee, Mick Kumwenda, Mahdi M. Jibani, Jamie H. Macdonald
要旨
背景
透析患者における漸増レジスタンス運動 (PRET) への反応は不明確である.このパイロット有効性研究は,透析患者において透析の間での強度の PRET が萎縮を逆転できるか,また結果的に筋力と身体機能を改善することができるか否かを定義することを目的とする.2番目の目的は蛋白同化反応と,同様のプログラムを完遂した健康な参加者の反応とを比較することである.
方法
単盲検対照試験において 23 名の透析患者と 9 名の健康な個人が無作為に PRET 群と比較対照群 (SHAM) に割り付けられた.PRET 群は強度の運動,つまり新規の設備を使って下肢を進展する運動を完遂した.SHAM 群は軽度の下半身を進展する活動を超軽量の抵抗バンドを用いて完遂した.透析患者の運動は週に 3 回の透析中に,12 週間にわたって行われた.転帰には MRI による膝伸筋容積,アイソメトリックダイナモメーターによる膝伸展力および身体機能の下半身テストが含まれた.データは群間比較を用いたプロトコルメソッドにより解析した.
結果
PRET は透析患者において統計的および臨床的に有意に蛋白同化反応を惹起し (PRET—SHAM, mean difference [95 % CI]: 193[63 to 324] cm3), 健常な参加者においても同様であった (PRET—SHAM, 169[−41 to 379] cm3). PRET は透析患者においても健常者においても筋力を増強させた.対照的に, PRET は健常者においてのみ下半身の身体機能を増強させただけであった.
結論
透析患者において透析中の PRET は正常な蛋白同化と筋力増強を惹起した.身体機能に変化がなかったことは驚くべきものであり,さらなる調査が必要と考えられた.
Keywords: Weight lifting, Wasting syndrome, Chronic kidney failure, Haemodialysis
Anabolic exercise in haemodialysis patients: a randomised
controlled pilot study