欧米の多くの介入試験では飽和脂肪酸摂取量を減少させると冠動脈疾患罹患率,動脈硬化度,LDL コレステロール値の減少が認められています.日本人を対象とした JPHC 研究においては飽和脂肪酸摂取量と心筋梗塞発症に正相関が認められています.しかし,飽和脂肪酸摂取量減少が脳出血の増加を起こすかどうかについては分かっていません.
成人
飽和脂肪酸の過剰摂取は動脈硬化性疾患,特に心筋梗塞のリスクと考えられています.その発症予防,重症化予防のために飽和脂肪酸の摂取量を制限するだけでなく多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やすことが重要です.各国において成人における飽和脂肪酸摂取量は 10 %E 未満が望ましいとしています.アメリカ心臓協会およびアメリカ糖尿病学会は 7 %E 未満としています.平成 23 年国民健康・栄養調査によると 20 歳以上の日本人の飽和脂肪酸摂取量は 6.9 %E です.成人の飽和脂肪酸の目標量は 7 %E 未満に設定されました.
小児
小児期の飽和脂肪酸の過剰摂取は中年での冠動脈疾患や肥満の原因となる可能性があり,小児期でも飽和脂肪酸の目標量は 7 %E 未満が望ましいとしながらも,疫学研究や関連する研究,介入試験が不十分であり小児の目標量の設定には至りませんでした.
飽和脂肪酸の食事摂取基準の 2015 年版および 2010 年版は下表のとおりです.いずれも乳児・小児および妊婦・授乳婦については設定されていません.
性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
年齢 | 目標量 | 目標量 |
0-5 M | ||
6-11 M | ||
1-2 | ||
3-5 | ||
6-7 | ||
8-9 | ||
10-11 | ||
12-14 | ||
15-17 | ||
18-29 | ≤7 | ≤7 |
30-49 | ≤7 | ≤7 |
50-69 | ≤7 | ≤7 |
70- | ≤7 | ≤7 |
妊婦(付加量) | ||
授乳婦(付加量) |
性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
年齢 | 目標量(範囲) | 目標量(範囲) |
0-5 M | ||
6-11 M | ||
1-2 | ||
3-5 | ||
6-7 | ||
8-9 | ||
10-11 | ||
12-14 | ||
15-17 | ||
18-29 | 4.5≤ | 4.5≤ |
30-49 | 4.5≤ | 4.5≤ |
50-69 | 4.5≤ | 4.5≤ |
70- | 4.5≤ | 4.5≤ |
妊婦(付加量) | ||
授乳婦(付加量) |
参照: br>
日本人の食事摂取基準(2015 年版)脂質 (pdf) br>
日本人の食事摂取基準(2010 年版)脂質 (pdf)